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2023.01.16

保育の原点 3『時間を気にしない保育』

長年保育に関する問題などのお悩み相談を受けていると、保育士さんの保育所内で生じる人間関係の問題の外に、子どもとの保育以外の仕事が忙しすぎて、子どもと関わる時間がなさすぎる!と言う声を聞く事があります。
そこで今回は、この保育者の「仕事の時間」について私の思うところを少し書いてみたいと思います。

 

やることが多すぎて時間がない・・・

多くの保育者は、日々の保育現場で働きながら、このように感じておられる方が多いのではないでしょうか?

保育者の仕事は、実際子どもと対峙する保育現場の他に、保育事務(保育計画や日誌や連絡帳等)や保育準備や片付け(設定保育や行事の準備や話し合い)、午睡チェック、掃除、消毒などなどがあり、1日を振り返ってみると、アレ?自分はどれだけ子どもと触れ合っていただろう?と思う事はありますか?

担任であるならば、クラス全員の子どもと話したり、遊んだり、抱っこしたり、保育者らしいことをしていただろうか?と思うと、8時間の勤務中半分も触れ合っていないかもしれない!なんて言う方もいるかもしれません。

特に3歳児以上の担任ともなると、担当する子どもがたくさんいるため、今日1日プライベートで一回も会話していない!なんていう子がいたと言う事があるかも知れませんね・・・

こんな日が続いてくると、私は何のために保育の仕事をしに来ているのだろう?
はぁ〜時間が足りない!と、ついため息が出てしまうこともあります。

 

保育所の生活時間に合わせなければならない

保育所の仕事は、このように日々数多くの業務をこなすだけでなく、保育所の生活リズムに子どもたちの生活を合わせながら保育を進めていかなければならない。と言う使命みたいなものがあるのではないでしょうか?

保育所には普通、生活のルーティンがあり、そのルーティンに従って子どもの集団生活を進めて行く保育所がほとんどであると思います。
登園→朝の自由遊びの時間→朝の会→主活動(外遊び)→昼食→午睡→おやつ→帰り支度→お帰りの会→夕の自由遊びの時間→降園

と、大体決められており、子どもの平均滞在時間8時間から9時間の生活時間が、この生活のルーティーンにほぼ10分単位で組み込められています。
すべての保育所がこのようになってると言うわけではありませんが、保育所の生活は昼食やおやつの提供時間に合わせて生活リズムが形成されて行くようになっています。

しかし、この普通の保育所の生活リズムの形成のあり方は、私たち保育者が現場で子どもと生活を共にしていると、そもそも無理のあることであると感じている方もいるかも知れません。

なぜならば在園する子どもたちの家庭での生活時間は、月齢の同じ子どもであったとしても大きく異なるからです。親御さんの出勤時間によって、子どもの登園時間は約2時間ちかく異なります。これは朝食の時間が2時間近く異なることになるわけで、登園の遅い子であると、登園してすぐにおやつを食べてその1時間半後には昼食を摂ります。ですからこんな子は、午前中3時間の間に3回も食事やおやつを食べることになる訳です。

そしてすぐに3時間位の午睡時間帯があり、起きてすぐにおやつになる・・・と言う何とも不自然な食生活習慣を付けられることになるわけです。
これが朝7時前に朝食をとる子であるならば良い生活習慣になるかもしれませんが、ご家庭によって生活リズムの異なる子どもが共に生活する保育所の生活形態を、時間の幅を持たせずに一律にしてしまう事はそもそも不自然で無理があることではないでしょうか?

私たち保育者は、保育所の保育を進めるにあたり、保育所保育指針に従い進めなければなりませんが、その保育所保育指針には“子ども一人一人の発達過程や家庭状況を踏まえる保育”が勧められています。
この点で特に0から2歳児の子どもの保育計画は、個別の保育計画を立てなければならないことや生活習慣の形成にあたっては、子どものしたいと言う気持ちを尊重するようにと勧められています。

また、保育所保育指針の解説書では、生活リズム形成にあたってのアドバイスには、“食べたい時に食べ、寝たいときに寝る”と言う点が勧められているのです。

え❓そんなこと書いてあるの?と思われた方も多くいらっしゃると思いますが、私もこの言葉が保育所保育指針の解説書に書かれているのを見たときに、一瞬目を疑ってしまったのですが間違いなくこのように書かれていたのです。

と言う事は、子どもの生活リズムをつけていく上で保育所は、「子どもが食べたい時に食べ、寝たいときに寝る」と言う保育を勧められていると言うことになるわけです。

しかし日本の保育所のほとんどは、伝統的にこれと全く真逆の、食事も午睡も決められた時間に一斉に一律に行っている保育をして来たのではないでしょうか?

もちろんこの保育指針に従い、幅を持たせて保育しているところもたくさんありますが、私たち保育者は、園長先生からまた周りの先輩保育者からごく当たり前のように子どもたちの生活リズムをつけるためにと、一斉食事一律午睡をしてきましたが、これが保育所保育指針に反している(法律違反)事なんだと自覚した時、私は一瞬血の気が引く思いをしました。

ともあれ私たちが行う保育の内容は、指針に書かれているものであり、そこに則り保育することが私たち保育者の職務であるならば、保育所の生活時間に子どもの生活リズムを合わせるのではなく、子どもの生活リズムに保育所の保育を合わせていくことが望ましい保育と言えるのではないでしょうか?

しかしこんな事をして子ども中心の保育などと言っていたら、子どもはどんどん我が儘になるし、100人以上いる保育所を回すことなんてできない❗️と言う声が聞こえてきそうです。

それはごもっともですね❗️ごもっともだとは思いますが、そのようなことを主張する園長・保育士・保育所は、厳しいことを言えば法律違反をしていることになってしまうので、私たち保育者は指針に則った保育に少しずつでも変えていく事が、保育の望ましい方向性と言えるかも知れません。

 

保育所は回す所では無い!

先程の『保育所を回すことができない❗️』と言う反論の声のように、保育者の会話の中にはこの“回す”と言う言葉がよく出てきますが、これからその点について書いていきたいと思います。

さて、そもそも保育所とは、回すものでしょうか?
大人の都合で子どもの生活が回されていくものであって良いのでしょうか?
私はそのような事は決してあってはならないものであると思いますが、現代の保育所の現場では、多くの保育所がそのような”回す”保育を余儀なくされているように思えてなりません。

そのような保育現場の中で多くの保育者が、これでいいのか?と日々悶々としながら保育をしている状況をよく耳にします。

ここには自分の望む保育があるけれども、保育士不足であるが故に、思うような保育ができず苦しんでいる状況があります。

保育士の数がもっといれば❗️園長先生!設置者さん!何とかしてください!と言う声をよく聞きますが、園長や設置者から“保育士の数は足りています!”と返されてしまう保育者もいる様です。

と言う事は、自分の保育士としての実力不足なんだ・・・⤵️となり、手の足りないところはサービス残業、持ち帰り仕事をしなければならない・・・と言う負の業務の連鎖になってしまっている仕事環境のところも少なくないかも知れません。

では、そのような保育所は果たして保育士不足なのでしょうか?

日本の保育所における、保育士の最低基準は法律で決められており、認可保育所の場合は、認可外保育所から比べると加配分があり、さらに自治体によっては、保育の質の向上を図るために余剰の保育士を備えた保育所には、加算の委託費が支払われるところもあります。

私は20年以上認可外保育所(ベビーホテル)を運営してきましたが、最低基準の保育士体制では、確かに保育所生活を回すのが精一杯と言う時も経験していますが、園児が成長し落ち着いてくると、最低基準の保育士がいれば十分に良い保育環境を提供することができることも経験しています。

私は現在、認可外保育所(ベビーホテル)以外に認可保育所も運営させていただいていますが、認可では認可外に比べて同じ子どもの人数に対して2倍以上の保育士を備えなければならないので、認可外から見たら反対に暇を持て余す保育士が出るほど、保育士の数が豊富にいるように思えてなりません。

私共保育所は、認可外で有ってもサービス残業はもちろんのこと、持ち帰り仕事も一切なし、有給も自由に消化できています。

私が今まで20年間にわたる認可外と認可の保育所を運営する中で気づいた事なのですが、認可保育所は、認可外から比べると、明らかに無駄な仕事の時間が多い事に気付いてしまいました。

 

保育士業務の無駄な時間

アナログ事務作業への固執による無駄

保育所の保育事務業務の仕事量の問題は、今までに多く議論されてきていて、特に保育事務の軽減化を図るための保育事務のICT化は随分進められてきているようです。
このICT化は、当園でも実施されており、これにより保育事務業務の重複作業が軽減される様になりました。
しかしICT化した事により、多くの情報を書き込みたいと思うまじめな保育者の中には、反対に事務業務の負担を自ら増やしてしまった人もいる様です。
また、「連絡帳は!園だよりは手書きでなければいけない!」と、根強いアナログひいきの保育所もまだあるようで、保育事務の軽減化はなかなか進められない状況も有る様です。

保育者が保育者以外の仕事をしている無駄

昨今のコロナ禍により、おもちゃをはじめとする保育備品の消毒がより一層行われるようになりました。
衛生管理は、保育者が当然しっかり行うべき職務の1つではありますが、保育を進めていく上で保育者が行わなくても良い清掃業務を含めた用務の仕事までが保育者に強いられるようになってしまっては、保育者は根を挙げてしまうかもしれません。

伝統的な行事を行わなければならない無駄

保育所での年間保育計画は、日本の伝統行事に合わせて行われているところもまだ多くあると思います。
これは保育所保育指針にある日本の文化や伝統に親しむ活動の一環として行われている相応しい保育であると思いますが、これら行事の準備が大がかりになり過ぎて、保育者の仕事量を増大させてしまっていることもあるようです。

これらの行事を準備することが、子どもや保育者の喜びになっているのであれば、これを無駄な時間と呼ぶ事はできませんが、例えば運動会の練習など、子どもも保育者もやりたくなく心の負担になっている傾向があるならば、これは時間の無駄と捉え見直していく必要があるかも知れません。

出来ないことを出来るようにする学年別の保育計画の無駄

保育所における指導計画は、保育所保育指針に示されている通り必要なことですが、この指導計画が子ども一人ひとりの成長のために必要なものであるのか?と言う点を園長・保育者一人一人が見直す必要があるように思います。

特に私が気になっているのは、この年齢の成長発達段階に、子どもたちの成長を合わせていくと言う保育計画の立て方です。
そもそも子どもの成長発達は、個性・個体差があるものなので、一緒の計画にするべきものではなく、さらには月齢の差がある子に対して学年別の指導計画で子どもの出来てないところを出来るように計画を立てて、皆と合わせていくことなど無駄な保育の何物でもないと思うのです。

保育所の生活リズムに子どもの生活リズムを合わせると言う無駄

これは先ほど書いたことですが、これを無理に行おうとする事は保育士の仕事の無駄にもつながります。
眠くない子を無理矢理寝かしつけるために使う時間・まだ神経がつながっていないのに無理矢理トイレトレーニングをする時間・食べることを拒否している子に無理矢理嫌いなものを食べさせる時間などなど、子どものしたくない事、まだ生理的に無理なことを強いることは、虐待にもつながる危険をはらむ無駄な時間と言えると思います。

子どもを楽しまなければならない!と言うプレッシャーから来る無駄

保育者は日常の保育の中でも、園長や先輩保育者達から“子どものために楽しませなければならない!”と言う無言の圧力をかけられることがあります。

「今度の発表会の時にエプロンシアターやってね!保育士は手作りおもちゃの1つや2つは作れなければね!」などなどそのような言葉に、保育士として自分で自分にプレッシャーをかけてしまうことがあるかも知れません。
ではこのような作り物の保育は果たして必要なのでしょうか?
作り物が得意でやりたい保育者がやるのであるならば良いのですが、周りからの圧力をかけられて、やりたくない作り物をやらなければならないとプレッシャーを感じながらやる仕事って本当に無駄な時間だなぁ〜と思います。

保育者から見て、“良い子に育てよう!”という無駄

これは先程の生活のリズムをつけさせたり、保育計画に従った保育により今の子どもの姿を変えてしまおう!と言う点に近いのですが、子どもたち一人ひとりを保育所の保育者の目から見て、都合の良い子に今の子どもの姿を変えていこうとする保育行為そのものが無駄であると思うのです。

子どもたち一人ひとりの今の姿は、全て完璧であり、変える必要のない貴重な成長のプロセスの瞬間であるわけで、今の丸のままの姿をそのまま受け入れて日々の保育の瞬間瞬間をうれしい・楽しい・幸せに生きていれば子どもは勝手に成長していくものなのではないでしょうか?

保育者は、その子どもの成長と可能性を信じることができないために今を否定し、今の子どもの姿を変えようとしましてしまっているのかも知れません。

私たち保育者は、もっともっと子どもの今の存在そのものを、そして子どもの将来を信じなければなりません。
この子は必ずちゃんと成長してくれる!と言うことを信じることができるならば、今できていないと思えることを無理矢理変えようとする事はしなくなるはずなのです。

コミニュケーション不足による行き違いからくる無駄

保育所を構成する保育者は、年齢・経験・経歴等により様々に異なる保育観を持っています。
その保育観の全く異なる保育者たちが集まってそれぞれの保育所の保育を行っているわけですが、その保育観の違いにより意思の疎通が図れず、クラスの運営がものすごくギクシャクしているところがあるのではないでしょうか?
このような保育所は、知らず知らずのうちに保育者のパフォーマンスが落ち、目に見えない時間の無駄を生んでしまっているのです。

この点職員会議は、保育者間のコミュニケーションを図る上でとても重要な場と言うことができますが、この会議の持ち方一つで逆影響になってしまうこともあります。

私たち保育者の仕事は、保育所保育指針に根ざしたものでなければなりませんが、指針に基づいた話し合いではなく、一部の意見の強い保育者の個人的な保育観で話が進んで行く職員会議は、参加する者にとって苦痛を伴うものであり、無駄な時間の何物でもありません。

保育者の無駄話による無駄な時間

これに同感される方は、多くいらっしゃるかもしれません。
それは、保育とは関係ない噂話・無駄話を好んでする保育者が実際に沢山いるからなのです。

しかし実のところ、保育者は自分の気持ちを話したくて話したくてしょうがないのです。
自分の思いを聞いて欲しい!そういった願いを持っている保育者は日本中にあふれています。
特に女性は世間話が大好きなので、話すことによって自分の心を保つことが出来るのです。今がふさわしい場ではないと言うことがわかっていても、ついつい無駄話をしてしまう・・・そういうものなのです。

ですがこの無駄話の時間が、自分たちで自分たちの余裕をなくしてしまっている事に気づいていないのかもしれません。

さて以上、私が最近感じている保育所の代表的な無駄な時間を列記してみました。
細かく言えばまだまだ数え上げたらきりがない位たくさんあるのですが、これら様々な要因が絡み合って認可保育所の保育者の貴重な労働力が無駄な時間として費やされ、それによって保育士不足を感じている園が本当に数多く有ることを私は痛感しています。

 

保育者の無駄な時間を、どのように解消することができるでしょうか?

私は、これを解消するために最も重要な方法は、園長先生自身が外部研修に積極的に出席し、他の園長先生達と積極的に交わり情報交換をし、得た情報を自分の園の保育者たちに共有することだと思っています。

この事は、保育所保育指針の5章に書かれており、園長先生は自ら保育の専門性の向上に努め、職員の専門性向上のために必要な環境の確保に努めなければならない。と書かれていますので、私たち保育者も自らの専門性向上のために積極的に学ぶ機会を持ち続けていきたいと思います。

そして、今回のテーマにもある様に、自らの園の時間の使い方を見直す事により保育の質の向上に努め、子どもたち一人一人を大切にた“時間を気にしない保育”が出来る様になりたいと思います。

今回は、保育所における時間をテーマにしたブログを書かせていただきましたが、皆さんはどのようにお感じになられたでしょうか?これはあくまで私の個人的な意見でありますが、

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